狭心症や心筋梗塞の診断
狭心症・心筋梗塞
心臓は全身へ血液を送り出すポンプです。そのポンプを構成する心筋へ血液を送る血管を冠動脈といいます。冠動脈が動脈硬化で狭くなったりつまったりすると、心筋に十分な酸素や栄養が届かなくなり、これを心筋虚血といいます。冠動脈が狭くなり一時的な筋虚血を起こし、胸痛等の症状が一時的に出現する状態が狭心症で、冠動脈がつまって心筋が壊死してしまい、持続的な胸痛や心不全症状が出現する状態が心筋梗塞です。こういった病気を虚血性心疾患といい、時に命に係わる深刻な状態です。
冠動脈は通常左冠動脈と右冠動脈の2本からなり、左冠動脈がさらに左前下行枝と左回施枝の2本の枝に分かれます。この主要な3本の枝で心臓全体を養っています。加齢に加えて、高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満、様々なストレス、喫煙等の危険因子が加わると、全身の動脈硬化がおこり、この冠動脈にも動脈硬化病変が進行していきます。
虚血性心疾患の診断の為にはこの冠動脈の状態と心筋の血流の状態を評価する必要があります。
狭心症・心筋梗塞の検査と診断
虚血性心疾患の診断の為には一般的な心電図や血液検査の他、心エコーや運動負荷心電図、ホルター心電図(24時間心電図)等の検査をまず行います。その後さらに冠動脈の状態を詳しく見る必要がある場合は冠動脈CTや心臓カテーテル検査等の精密検査を行います。
左は当院のCT画像で、下はここで行った冠動脈CTの画像です。冠動脈CTは造形剤を注射しながらCTを撮影し、画像を解析して心臓の表面の冠動脈を3次元で表示します(下図左)。さらに左右の冠動脈を色々な角度から観察して動脈硬化の程度を調べ、狭い所やつまっている所がないかどうか確認します。冠動脈CTでは腕などの静脈に造形剤を注射する必要がありますが、手足の動脈を穿刺してカテーテルを入れる必要がある心臓カテーテル検査に比べると、合併症の危険性は少なく、比較的簡単に冠動脈の状態を確認することができます。